2015.11.14
70年後の今日「海ゆかば」を今の人たちはどんな心待ちで観るのだろう。昭和30年代生まれにしてニュース映像の傷痍軍人が浮かぶが、元歌とは違う使われ方をした「海ゆかば」に心動かされることはない。
痛みは生の実感。昨日のはての筋肉痛にこの身体は生きていると実感する。痛いのはこの程度にしておきたい。忘れてはいけない物語。すべての人の記憶から遠ざかれば、戦争はなくなるのか。今日もテロが起きている。愛しあってるかい?といいたい。どうしたら観客を増やすことができるのか考えながら芝居を観に行ける今日が続くことを祈るのみ。管理人の私感。
2015.10.31
本日満員御礼。
「空気はぜひ必要です」
執筆あけ(途中?)で眠り込んでいる劇作家(根岸光太郎)の部屋。掃除に来た妻(川口圭子)に気づかず寝言をもらす…夫婦喧嘩の挙句妻が出て行くと、次々に来客が訪れる。米屋、肉屋、酒屋、炭屋、洗濯屋、撥兵、瓦斯屋、裁縫所の女。対応に追われる劇作家のもとに、こちらも喧嘩の挙句家を飛び出した妹がやって来て、劇作家が妻に言った口説き文句そのままの甘い言葉はどこへやらの旦那の様子をなげく。自分の口説き文句を劇作中に使い、巷に広まっていたからだ。対応に追われ、執筆もままならない劇作家は出て行ってしまった妻には言えぬが、妹には「家に帰れ」と本音を漏らし追い返す。空気がないとどうにも息苦しいものなのだ。
>>次回名作劇場出演予定です。
2016年3月15日(火)〜19日(土)
No.85 本庄 桂輔「良人の教育」
No.84 佐藤 紅緑「故郷の人」
2015.3.21
「女よ、気をつけろ」の舞台は二等客車の中。左右に二人掛けの座席。中央に出入り口。左側に夫人と青年、右には紳士がひとり新聞を広げ読んでいる。折尾駅に停車したところで婦人が駅名を尋ね、青年と会話を始める。事件のはじまり…
セットは舞台の前方に配置されていて、今までと印象が違う。50分間一挙手一投足に目が届く。
劇のはじまりは、客席中央通路から出てきた老人が舞台幕前中央に置かれた台に上がり、講演をはじめる。汽笛を合図に老人は講演の終わりを告げ、汽車が走り出し、幕が上がる。
ストーリーテラーが劇を進行させ、閉(締)める、大正の「世にも不思議な…」物語。
車内での殺人はわりとよくあった!とは、ふりなのか、案外事実なのか。。
さて「或る夜の出来事」では、女中にのぼせて絵を描かない画家(根岸光太郎)をはじめ、したたかな女中初子(奈良井志摩)、料亭の女将(タナカサキコ)、初子と対照的な女中時子(高野百合子)など出演者のものいい、しぐさで笑わせる。
演出川和氏オリジナルの歌を歌い料亭のぼん(画家)が登場、旧知の友人(学生)に揶揄られながらも、お気に入りの女中初子をつれて帰りたくて、頭の中は初子のことだけ、絵も描けずにいる。が、板場の茂吉から初子に他の男の子ができて…と聞かされ、治まらない気持ちを初子にぶつける。うってかわって豹変した初子にののしられたあげくぼけよばわり、行き場がないまま、せんべいを割っては食べ、割っては食べ、夜は更けてゆく。
肩のこらない話は、まるで○○新喜劇!男よ気をつけろ!
>>次回名作劇場出演予定です。
2015年10月27日(火)〜31日(土)
No.83 森 和「邪宗門」
No.84 鴇田英太郎「空気はぜひ必要です」
2015.3.19
今回で82作品となった第40回名作劇場。二本とも(風刺)喜劇の組合わせは初。
上演パンフレットの中村氏(演劇評論家)によれば、40年近い観劇経験の氏においても今回の二作品の資料は皆目見当たらず、企画・演出の川和氏にいたっては、パンフレット上で情報提供を呼びかけていらっしゃる。
戯曲は雑誌などに掲載されることでかたちとして記録されているが、作家の情報や上演記録は残されていないものも多い。
ということは、名作劇場で初演という作品はスタッフとキャストによる初ものずくし。もう二度と上演されない千載一遇の機会!
→全キャスト&全スタッフ
休憩15分を挟んで二作品で1時間半。小粒でもピリっと楽しめます。
21日(土)14時、楽日ぜひ!
2015.1.25
朗読会「実篤を聴く」Part14、今回は吉田幸矢さん、井ノ口勲さんと根岸光太郎の三人での朗読でした。
第一部は調布市仙川で晩年の20年を過ごした実篤が、水のあるところに住みたいという希望をかなえ、仙川の地に棲家を求めるところから、庭にいる鷺や尾長の日々の様子などが語られていて、庭の様子が想い浮かび、花の季節に実篤記念館の庭や実篤公園を観にいくという、未だ実現していない事実に思いあたりました。
第三部「花咲爺」犬の名前は忘れてしまいましたが、誰でも知っているお話。実篤流は超がつくほどのポジティブシンキングマンぶりが、しょうべえ(井ノ口)ちゅうべえ(吉田)よくべえ(根岸)の掛け合いで語られています。